
現在において都市に暮らす人々が地域の「木」に触れる機会はごく限られたものとなっている。また、山から街を通って海へ、さらに空を介して再び山へ戻ってくる「水」の循環も、高度な都市化によってその流れが感じにくくなっている。
神水公衆浴場では、建築に使用した木材の9割が地元産材(県産材と九州産材) であり、主に阿蘇の裾野で育つ小国杉や桧を使用している。さらに、お風呂に使うお湯は、すべて阿蘇から流れるなめらかな肌触りの地下水を汲み上げて提供している。
湯船に浸かりながらまさに全身で感じる阿蘇の木と水は、山に育つ木々や、山に降る雨の記憶を呼び起こし、時に私たちを襲う自然の脅威を想像するきっかけにもつながる。自然と共に生きる感覚を日常の中に育み、森林の維持管理や環境への関心を高めることが、地域全体の潜在的な防災意識を高め、未来への備えにつながっていくと考えている。

写真:小川重雄
DESIGN NOTES 一覧へ戻る >>
竹味佑人建築設計室
YUTO TAKEMI ARCHITECTS WORKSHOP
|
YTAW