エネルギーと熱の流れのデザイン

水は、比熱≒約4.2 kJ/(kg·K)熱容量≒約4200kJ/(m³·K)という熱の特性を持ち、温まりにくく冷めにくい。蓄熱性が高いと言われるコンクリートと比べると、同体積では約2倍、同重量では約5倍の熱を蓄えられる。

「K家族のいえ」では、HEAT20 G2相当の高断熱・高気密性能に加え、2 階床下に2200L の水蓄熱層(アクアレイヤー)を設置した。アクアレイヤーは、根太間にアルミ製の水パックを敷設する水蓄熱床冷暖房システムである。太陽光発電の電力で空冷ヒートポンプエアコンを駆動し、床下にとして貯めることで、外気温の変動に対して安定的な温熱環境を保つ。

水蓄熱だけでΔt=3Kのとき、約27.7MJを蓄えられる。

日本の暮らしでは素足で床に触れる時間が長い。蓄熱により床表面温度を安定的に保ち、熱伝導率の低い無垢フローリングを仕上げに採用することで、小さなエネルギーで足元から健やかな温冷感を実現した。

写真:アクアレイヤーの施工時の様子(YTAW)

夏:昼間は太陽光で床下に冷熱を蓄える。夜間は1階天井(2階床下面)が冷えていることによって放射冷却が発生し、寝室は冷えた洞窟のようなドラフトレスの快適な睡眠環境となる。

実測結果:夜間に冷房停止後も 9時間で室温上昇は 1.5℃以内、約 26.5℃が維持された。

冬:昼間は同様に床下へ熱をチャージして、足元から自然な接触温感を確保。夜間はカウンターアローファンで2階床下の暖気を1階床下へ送風し、床スリットから穏やかに給気して温熱環境を整える。

実測結果:送風時は寝室 25℃・リビング 21℃を維持。送風しない場合でも寝室は緩やかな温度上昇が起き、身体にやさしい温熱環境となっている。

寝室

特記なき写真:根本友樹
性能検証データ提供:久保洋香

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