地域社会に開かれた私的領域を持つこと

私的な空間(庭、縁側、軒先、家の一角)の中に、地域社会へ開かれた領域をもつ住宅は、現代ではほとんど見られない。ライフスタイルの変化、標準化された商品住宅の普及、防犯・プライバシー意識の高まり――いくつかの要因が重なり、結果として内向きに閉じた建築群が魅力の乏しい街並みを生む一因にもなっている。

「戸越銀座の賃貸併用住宅/Toritor(通リ通ル)」では、魅力ある地域に寄与する住宅にしたいというオーナーの願いから、通りに面した一角を地域と共有する小さな広場(シェアスペース/トオリノハナレ)とし、私的領域ながら街に開く仕組みが実装されている。

約8㎡の小さな空間ではあるが、エアコンや水栓もあり、大きな開口を開いて外部と連続すれば半屋外のようにも使える。商店街利用者の休憩、入居者・地域住民によるイベントなどの利用が想定された。

実際に、
・賃貸SOHO(絵画教室)入居者による絵画作品展示
・絵本の出張販売
・雑貨や子供服のポップアップショップ
・地域のお祭り時の無料休憩所
など、まちと住まいの関係性を育む活動が始まっている。

周りに住む人の顔が見え、地域とつながる小さな拠点を住宅の一角に持つことは、広い意味での防犯やセーフティネットにもつながる。この場所は、パブリックとプライベートが緩やかに重なる、オーナーによる魅力ある都市づくりの実践の場でもある。

トオリノハナレの想定プログラム(提供:Toritor)

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